イラスト:太田裕子
総務省が発表した住宅・土地統計調査(令和5年)によると、全国の空き家の数は900万戸。空き家率も13.8%と過去最高を記録しています。親族が遺した住まいやモノに、自分の人生がこんなに振り回されるとは……。福井麻子さん(仮名・東京都・自由業・55歳)は、夫ががんで亡くなり、空き家となって数年間放置されていた夫の生家を相続することになり――。

「漬物瓶たくさん」「食器いろいろ」

山陰地方の某市には、夫の生家があります。義母が他界してからは空き家になり、数年間放置されていました。この家を相続したのは、私の夫と義理の兄。法定相続通り2分の1ずつ相続しましたが、義兄も東京で働いており、地元に帰ることはないと言っています。

そして2025年3月、夫ががんで亡くなりました。今思えば、定年やコロナ禍の影響で外出の機会がなかったせいか、体力・気力が低下していたのだと思います。

私に遺された夫の遺産に含まれていたのが、例の空き家。夫の持分である2分の1が私の所有者責任になりました。相続したからには、この家の状態を少しでもよくせねばと、私はこの家の片づけに着手したのです。

空き家とはいえ、かつて一家4人が暮らした荷物はそのまま残されていました。500平方メートルの敷地に、築72年の母屋と、倉庫として使用していた24平方メートルの離れがあります。

離れにはとにかくモノがたくさん。義父の武道の道具に、義母の趣味だったちぎり絵や、和紙人形。埃が舞うなか、ざっと数えただけでも、和紙人形は50体、ちぎり絵作品は大小あわせて100作品ほど。

そのほかに、梅干しや梅酒などが入った重い漬物瓶が100個以上。蓋を開けると強烈な臭いです。

さらには年季の入った茶道・花道の道具、電子オルガン、バイオリン、8ミリビデオ映写機に編集機、VHSテープ、宝船、結婚式の引き出物らしき立派な食器の数々、お客様用の松花堂弁当の箱がたくさん。

食器が詰まった押し入れなんて、重みで床の底が抜けてしまっているありさま。何から手をつけたらいいのやら……。