文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」によると、読みたい本を選ぶときに「書店で実際に手に取って選ぶ」と回答した割合は減少傾向にあるそうです。書籍(紙)の売上減少や書店の閉店が相次ぐなか、『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』『塞王の楯』『イクサガミ』などで知られる直木賞作家・今村翔吾さんは、きのしたブックセンター、佐賀之書店、シェア型書店「ほんまる」という3軒の書店を経営しています。そこで今回は、今村さんが出版業界事情を余すところなく語った『書店を守れ!』から一部を抜粋してお届けします。
地方だからこそ
とある地方都市にほんまるの新店舗を開業すべく動いています。
神保町の本店とは違って、「オールシェア型」ではありません。「一般書店×シェア型書店×カフェ」という、3業態がドッキングした複合型書店です。このために、すでにカフェ事業者をM&A(企業の合併・買収)しました。これで、きのしたブックセンターや佐賀之書店よりも大きな規模での開業も叶うと思っています。
私はもともと、「オールシェア型」は本店だけと決めていました。というより、ほんまる開業のためにリサーチを進めていた頃から、「シェア型書店という業態が成り立つのは、都心部だけだ」と確信していました。
それは、単純に、借り手の数の問題があるからです。ほんまるは売場面積16坪の小さな店ですが、それでも棚は全部で364あります。しかし、地方都市では、月々の棚代をいくら低めに設定しても、これだけの棚を埋めるのは困難でしょう。