2026年1月に発表された日本映画製作者連盟(映連)のデータによると、2025年の年間興行収入は2744億5200万円で過去最高となりました。「2020年代の現在、日本映画(邦画)はかつてない盛況を迎えている」と語るのは、映画史研究者・渡邉大輔さんです。そこで今回は、渡邉さんの著書『『君の名は。』は日本映画に何をもたらしたのか 庵野秀明・岩井俊二・新海誠から読み解く現代日本映画史』より一部を抜粋し、お届けします。
「黄金期」を迎える130年目の日本映画
2026年は、映画が日本の歴史に登場してから、ちょうど130年目の節目にあたる。
1896年の11月25日、この5年前にアメリカのトーマス・エディソンによって発明された最初期の映画装置「キネトスコープ」が、輸入した鉄砲商の高橋信治によって港町・神戸で初上映されたのが始まりとされる。ただし、この装置はループする動画をひとりずつ鑑賞する「覗き穴式」だった。
続いて翌1897年2月、フランスのリュミエール兄弟が1895年に発明した「シネマトグラフ」が、彼らと親交のあった輸入業者の稲畑勝太郎の手で紹介され、大阪で初上映される。このシネマトグラフが、映画館内の前方に大きなスクリーンがあり、そこに背後から映写機で映像を投影し、それを観客席の大勢のひとびとが観る、という20世紀に一般化する形の最初の映画装置だった。
そして、同じ年には早くも日本人の手による映画撮影が始まる。こうして、明治30年代に日本映画の歴史が幕を開けた。