日本映画はかつてない盛況を迎えている

さて、2020年代の現在、日本映画(邦画)はかつてない盛況を迎えている。

邦画といえば、とりわけ筆者よりも年長世代の読者にとっては斜陽産業のイメージのほうが強いだろう。しかし、一般社団法人日本映画製作者連盟(MPPAJ)の公開するデータによると、近年、国内の映画興行、しかも邦画は稀に見る活況を呈している。ウェブで公開されている1955年以降で、全国のスクリーン数は、もっとも減った1990年代前半の約1700から、1960年代後半の水準の約3600まで回復した。

『『君の名は。』は日本映画に何をもたらしたのか 庵野秀明・岩井俊二・新海誠から読み解く現代日本映画史』(著:渡邉大輔/星海社)

何より目を引くのは「邦高洋低」の傾向である。邦画の公開本数自体、ここ数年は過去最高レヴェルに達しているが、邦画と、ハリウッド映画を筆頭とする洋画の興行収入の比率が、2000年代半ば頃から逆転したのである。

それまで昭和末期頃から長らく後者の圧倒的優位で推移してきた両者の比率(洋高邦低)が、これ以降覆り、邦画が全体の7〜8割のシェアを占めるようになる(とはいえ、こうした「ドメスティック化」の傾向は、洋楽離れや海外文学離れなど文化消費一般にも当てはまるが)。