警察庁が公表した「令和7年中における死体取扱状況(警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者)について」によると、2025年中における警察取扱死体20万4,562体のうち、自宅で死亡した一人暮らしの者は7万6,941体で37.6%だったそうです。そんな中「老後ひとりの『最期の居場所』をみつけるのは難しい」と語るのは、住生活問題を専門とする追手門学院大学地域創造学部教授・葛西リサさんです。今回は葛西さんの著書『単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題』より一部を抜粋し、単身高齢者の実態をお届けします。
増える「よくわからない死」
実は、長らくの間、孤独死には公式な定義が与えられてこなかった。そのため、孤独死というものの実態はいまだに明らかになってはいない。
2023年、政府は孤独死・孤立死の実態把握に向けたワーキンググループ(WG)を組織し、ようやくその可視化を目指すことを宣言した。そこでは、孤独死と孤立死の用語の整理が行われている。似たものとして使用されがちなこれら用語だが、明確な違いがある。
「孤独」が、ひとりぼっちの状態を「寂しいと思う」という主観的な意味を含むのに対し、「孤立」は、つながりや助けのないことという客観的な状態を指す。WGでは、それぞれの死と生前の「寂しい」という状態をリンクさせるデータが存在しない限りにおいては、客観的な状態を示す「孤立死」を採用することが適当だと結論づけている。一方で、これまでさまざまな媒体で多用され、広く認知されている「孤独死」という表現を排除するものではないと付言している。
その上で、2025年4月には「孤立死者数の推計方法等について」というとりまとめが公表された。そこでは、孤立死(孤独死)を「誰にも看取られることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の様態」と仮置きするとしている。