心身の衰えや認知症、介護にお墓…年齢を重ねると直面するさまざまな問題に対して、私たちはどのように考え生きていけばいいのでしょうか。今回は、エッセイストで作家の阿川佐和子さんと詩人の伊藤比呂美さんによる対談を、共著『サワコと比呂美 女じまい』から一部抜粋してお届け。「歳をとるって面白い!」と思える「女じまいの物語」をご紹介します。
髪じまいと美容院
伊藤 私はアメリカからこっちに戻ってきて大学で教えはじめたときに“ブラジャーじまい”をやりました。
阿川 え、ブラをつけない、ってこと?
伊藤 きっかけは暑さ、なのだけれど、東京は暑くて暑くて、ブラジャーをやめるか、ズボンをやめるか、髪型を変えるか、どれかをすぐにと思って……。
阿川 長い髪の毛は括ればいいんでしょ(笑)。切ったら?
伊藤 死んだ連れ合いが「髪の毛は切ってくれるな」と言い残した。(笑)
阿川 何を急に殊勝なことを。(笑)
伊藤 アハハ。とにかくまずは“髪じまい”をやったわけです。
阿川 あ、やったの!?
伊藤 髪を人に切ってもらったり染めてもらったりするんじゃなくて、ゆくゆくは自分の手でなんとかできるようになりたいと思っていたのもあって。ジャニス・ジョプリンみたいなワイルドなカーリーヘアだったんですが、切って少しずつ減らしていきました。でもって、鏡なしで結うのが、とてもうまくなったの。
阿川 でも、そこ(指をさして)シニョンがゆるくて取れかけてるよ。うまくなったんですか、それで。(笑)