101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<手紙やはがきで思いを伝え>

文章で表そうとするから気づくことがある

私の苦手とするものが、電話での長話です。電話は必要な件を伝えるもの、と思っていますので、用が済むと「じゃあ、また」と言って、早々に切ってしまいます。

気持ちや考えは、文章で伝えるようにしており、毎日の午前中は、ほとんど手紙やはがきを書いて過ごしています。手紙を書くことは、電話ではできない、いろいろな発見をさせてくれるものです。

私は、書き出しに庭の草花や樹木のことについて触れることが多いのですが、文章で表そうとすると、そうでなければ見落としてしまいそうなものを、じっくりと観察するようになるのです。

そのような目で見ると、花の姿が凛として見えたり、可憐に見えたり。何気ない風景が、感動を与えてくれるものになります。

 

(写真:stock.adobe.com)

 

「早くて便利だし、届いたということをすぐ伝えられる電話のほうが、礼状よりもいい」という方がいますが、私は頂きものをした上に電話口に相手を呼び出す、というのはとても気が引けてしまうのです。そのとき、その方は来客中かもしれませんし、トイレに行こうとしているかもしれません。

突然電話をするというのは、相手の私生活にずかずかと踏み込んでいるような気がしてしまうのです。

夫もよく「お礼はことさら電話でしてはいけない」と言っていました。ですからどんなに短くても、礼状は必ず書いています。

そんな私は、親類のものなどから化石のように扱われていますけれど。

 

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