ドラマや映画によく登場する「警視庁公安部外事課」。「聞いたことはあるけど、具体的なイメージが湧かない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。日曜劇場『VIVANT』の監修を務めた元警視庁公安部外事課の勝丸円覚さんは「公安警察の活動は、人々に称賛されることも評価されることもほとんどない。それでも彼らは、来る日も来る日も地べたを這うような地道な任務を続けている」と語ります。そこで今回は勝丸さんの著書『警視庁公安部外事課 スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』より一部を抜粋し、知られざるインテリジェンス(諜報)の世界をお届けします。
公安警察と一般の警察との違い
警視庁公安部外事課の仕事を理解していただくにあたり、まずは「公安警察」という組織そのものについて述べてみたい。
公安警察とは、どんな組織なのか?
それは、簡単に言えば「日本の治安を維持するため日々任務を行なう警察のセクション」ということになる。
その点で、一般の警察となんら変わりはない。
ただ、一般の警察と公安警察との決定的な違いは「取り締まる対象が異なる」ということだ。
一般の警察は「市井の人々を脅かす犯罪」や「生活に害を及ぼす行為」を取り締まるのに対し、公安警察は「公共の安全に対する犯罪」や「反社会的な活動」をおもな対象とする。
いわば、ミクロの目線から日々の市民生活を守るのが普通の警察で、マクロの目線から日本という国家全体を守るのが公安、と考えればわかりやすいかもしれない。
だから、公安が追いかける対象は、空き巣や痴漢、強盗や殺人などの凶悪犯といった連中ではなく、「過激派」や「テロリスト」などの犯罪者やその集団ということになる。