放送中の連続テレビ小説『風、薫る』(総合、毎週月曜~土曜午前8時ほか)。田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)を原案に、看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマ。主人公の一人、一ノ瀬りんを演じているのが見上愛さん(25)だ。夫と離縁し、娘・環を連れて家を出たりんは、女性が自立できる仕事として看護婦を選んだ。看護の仕事と子育てでいっぱいだったりんだが、第90回でシマケン(佐野晶哉)から「愛おしいです」と思いを告げられ、涙をこぼした。物語も後半に入り、りんを取り巻く人間関係も変化の兆しを見せている。見上さんに役や作品に込めた思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)
目の前の誰かのために
昨年9月に栃木・那須のロケでクランクインしました。平日は毎日撮影があって、一ノ瀬りんでいるよりも見上愛でいる時間が短い日々を送っています。朝ドラは撮影しながらどんどん脚本が完成するので、逆算するような役作りはできません。俳優としてすごく勉強になっています。
今はまだ『風、薫る』という作品から受け取った新しい考えや価値観を自分に還元して生活するには至っていなくて。撮影が終わってしばらく経ってから、「実はりんの持っている強さに救われていたんだな」などと気づくと思っています。
(『風、薫る』/(c)NHK)
<那須地域の元家老の娘として生まれたりん。結婚して娘・環を生むが夫と離縁。上京し、女性が自立できる仕事を探していた時、陸軍卿・大山巌の妻、捨松(多部未華子)と出会い、トレインドナースの道を歩むことになった>
普段から、演じる役に対して自分との共通点や似ているところをなるべく考えないようにしてきました。共感できるのかという軸で考えると、25年しか生きていない自分の人生だけで考えることになり、脚本家やプロデューサーの考えているりん像から離れてしまうのが怖いんです。
りんはすごくのんびりしていて、思ったことを正直に口にする。曲がったことが嫌いで自分を貫く人。見た目はほわっとしているけれど、心の強さに驚かれる人物として演じてきました。「自分がどうしたいか」よりも「目の前の誰かのため」に行動することが多くて。きついことや辛いことがあっても、それを隠そうとしてしまう。りん自身は素直に行動できていると思っているけれど、直美には本当の気持ちが見透かされているんです。