(撮影:小林ばく)
舞台、映画、ドラマにと幅広く活躍中のミュージカル俳優・市村正親さん。私生活では2人の息子の父親でもある市村さんが、日々感じていることや思い出を綴る、『婦人公論』の連載「市村正親のライフ・イズ・ビューティフル!」。第24回は「僕を育ててくれた演出家たち」。(構成:大内弓子 撮影:小林ばく)

人生は紙一重

これまでいろいろな演出家と一緒に舞台を作ってきました。最初の大きな出会いは、やっぱり劇団四季の浅利慶太さん。『イエス・キリスト=スーパースター』のオーディションで僕をピックアップしてくれたわけだけど、これには実は裏話があって、最初、僕は落ちていたらしいんです。

それで、審査員の一人だった音楽プロデューサーの村井邦彦さんが、「あの市村っていうやつ、四季でいらないんだったらうちでもらいたいんだけど」と言ったら、浅利さんAB型で気分がコロコロ変わる人だから(笑)、人が欲しがるものはあげたくなくなったんだね。

「あれはうちのオーディションを受けにきたんだからうちで取る」と僕を渡さなかった。だから、村井さんのひと言がなかったら、今の市村正親はいなかったかもしれないの。人生は紙一重だよね。

浅利さんの演出で印象に残っているのは、まず、『イエス・キリスト〜』の時に思い知った大変な厳しさ。あの作品は出演者にロックミュージシャンも多くて、ある種とんでもない集団だったから、締め付けなければと思ったんだろうね。