(写真提供:Photo AC)
『小さな恋のものがたり』をはじめ、『ハーイあっこです』『わたがしふうちゃん』『アララさん』など、数多くの名作を生み出してきた漫画家・みつはしちかこさんは、御年85歳。みつはしさんは「ひとりは、さみしいことではありません。ようやく『自分』に帰れる時間です」と語ります。そこで今回はみつはしさんの著書『ひとりを楽しむ小さな習慣』より一部を抜粋し、「年を重ねても、ひとりでも、毎日を楽しく生きるための小さな習慣」をお届けします。

夢のような母にもう一度会いたい

60年以上も、ひとつの片思いを追い続けているのだもの、おもしろいことは、すでにもう描いてしまった……。

そんな気持ちになって、あせればあせるほど、なんにも出てこない。――もうダメ!! 

仕事で追いつめられたとき、わたしはふと母のお墓参りを思いたちました。

この母は、私が小学校3年のときに亡くなってしまった生みの母。

亡くなる前に洗礼を受けたので、母のお墓だけ実家の墓地と離れて、ひとつポツンとカトリック墓地にあります。小平にある実家のお墓は、みんなお彼岸にはお参りに行きますが、こっちの母のお墓は、かわいそうにほとんど忘れられているのです。

そして、こんなふうに自分が落ち込んでどうしようもないときに、ふっと苦しいときの神頼み的に思い出すのです。

あの、遠い、ほとんど夢のような、母に会いたい――母のお墓へ行ってみよう。と、思いたったら矢も楯もたまらず、こっそり飛んでいきました。――1時間半たらずで行けるところなのに、私はもう、何年もお墓参りに行っていなかったのです。