大谷亮平さん
大谷亮平さん
180センチを超える長身に、端正な顔立ち。韓国でブレイクしたのをきっかけに、日本でも活躍の場を広げた俳優の大谷亮平さん(46)。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』や映画『ゴールデンカムイ』など話題作に出演してきた。10月に公開される映画『遥かな町へ』では、48歳でミッドライフクライシスを抱える主人公、建築デザイナー、中原博史を演じている。博史がタイムスリップして、過去の自分の家族と向き合い、人生を見つめ直すというストーリー。原作は、『孤独のグルメ』などで知られる谷口ジローさんの同名漫画で、海外で映画化され評価が高い作品だ。主人公と大谷さんは同年代ということもあり、「心に響く部分も多かった」と語る。撮影を通じて感じた人生折り返し地点を迎えた心境や家族への思いを大谷さんに聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

「両親はあの時どんな思いだったのか」

<『遥かな町へ』の舞台は昭和30年代の倉吉だ。仕事の出張のついでにふと懐かしくなり、故郷の倉吉を訪れた博史は、母の墓参りをしていた時に倒れ、気が付くと中学生だった1963年にタイムスリップしていた。48歳の意識のまま14歳の身体に戻った博史は倉吉の街で再び家族と向き合うことに。やがて失踪してしまう父・与志雄(滝藤賢一)や母・和江(戸田菜穂)、妹・京子(このか)や祖母・静江(紀比呂子)と日々を過ごす。父が蒸発した日まであと4カ月。父の失踪後の母の苦労を知っている博史は、父の失踪を止めようとするが…>

映画の脚本の前に、まず原作漫画を読んだんです。ロマンがあって、ファンタジー要素にワクワクさせられました。自分が今の年になったからこそ、響くものがある。ちょうど、この作品の撮影に入る前から、「両親はあの時どんな気持ちだったのだろう」と考えることが増えていました。自分が40歳を過ぎたからかもしれません。僕は幼少期からバレーボールをやっていて、親にはよく世話になったんです。両親は共働きでしたけれど、土日には僕のバレーの練習や試合のために車を出してくれていました。

子どものためとはいえ、自分の休みをつぶしてくれていた。今、子どもがいない僕からしたら、疲れてゆっくりしたい時もあっただろうな、と思ってしまうんです。もし、親に聞いたら「自分を犠牲にしたとは思っていない」と言うと思います。

僕の家族は今でも結構仲が良くて、毎日のように両親やきょうだいで作っているグループLINEが動くんです。なので、当時の両親の気持ちとか…。いろいろ聞こうと思えばそこでも聞けるんですが、母親はおしゃべり好きなので、1聞くと10返ってきてしまう。だからいつも、「まだ、聞かなくていいかな」って思っちゃうんですよ。(笑)

<家族に向き合う一方で、博史は大人の知性で、初恋の人・智子(磯谷萌々子)との距離を縮める。中学生とは思えない落ち着いた態度に智子は惹かれていき…>

過去に戻って憧れの子と距離を縮める。いい年をして、幼稚だと思われるかもしれませんが、「時間を戻して、好きな子に告白する」とか、いわゆる「たられば」って誰しもが持っていると思うんです。中年の男性にすごく響く。僕が14歳に戻ったらですか?自分のこれまでの経験を存分に使って、好きな子にいろいろアピールするかもしれません。(笑)