(写真提供:Photo AC)
笑える科学『イグノーベル賞』をご存知でしょうか。人々を笑わせ、そして考えさせる研究に贈られる賞であり、そのユニークな研究内容から、毎年の授賞式は科学に馴染みのない人からも注目を集めています。サイエンスライターである五十嵐杏南さんは、「科学者たちは、自らを実験台にしたり、何十年も同じテーマを追い続けたりしながら、素朴な疑問に本気で挑みます」と語ります。そこで今回は五十嵐さんの著書『ヘンな科学:“イグノーベル賞”研究42講』より一部を抜粋し、「科学の面白さと奥深さ」をお届けします。

話が長い人を黙らせる機械――意外と万国共通のこの悩み

話が長い人を黙らせる機械が手元にあったら、堂々と相手に「Shut up!」なんて言えないシャイな日本人は、たんまりと使う相手を思いつくだろう。

まずは、どーでもいい世間話を延々と続ける近所のおばちゃん。赤の他人の家庭の金銭事情や色恋沙汰について逐一報告されても、反応に困る。

次に、飲み会でモノローグを続ける人。盛り上げてくれるのはありがたいが、ついていけない話題に何時間も相槌を打つのは辛いなあ。

そして、うざい上司やお偉いさん。彼ら彼女らは仏様にでもなったつもりなのだろうか。本人はありがた~いお話をしているとでも思い込んでいるのであろう。こちらから聞いたのなら別として、自慢話やら説教話をダラダラ語られるのは、特段心地よいものではない。

はい、早速1人で盛り上がってすみません。シャイな日本人なので、妄想が止まらないのです。

2012年に音響学賞を受賞した研究者たちは、画期的な機械を発明した。

話している人の言葉を少しだけ遅らせて本人に聞かせることで、その人が話しづらくなる機械だ。これを使えば、「もううんざり……」と思った時に相手を黙らせることができる。

その名も「スピーチジャマー」。英語の「jam(物や言葉を詰まらせる)」と、日本語の「邪魔」をかけたネーミングだという。