コロナ禍で一気に広まったリモートでの打ち合わせや会議。いまでは対面のほうが珍しいくらいになり、エッセイストの岸本葉子さんのところにもリモート会議に加えて、番組へのリモート出演の話も舞い込んできたといいます。とにもかくにも初めてのリモート、やっとつながったと思ったそのとき、岸本さんが目にしたのは?
※本稿は、岸本葉子『ふつうでない時をふつうに生きる』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
※本稿は、岸本葉子『ふつうでない時をふつうに生きる』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
画面に映る自分の顔に「これが私?」
オンラインで交流するのが、新型コロナで広まった。オンラインの飲み会とか趣味のレッスンをオンラインで受けるとか。
「私はないな。飲み会はもともと参加しないし、趣味のダンスフィットネスは双方向でなくてもユーチューブに上がっている動画に合わせてすればいいし」
と思っていたが、そうも行かなくなってきた。リモート会議だ。
ウェブカメラを使うのは初めて。会議の数日前、とりまとめ役の人と接続状況を確認する。お互いに中々入れず、ようやくつながり、
「よかった!」
パソコンの前で拍手したのも束の間。画面に映る自分の顔にショックを受ける。
「これが私?」
自分の顔の現実は知っているつもり。月1回俳句番組の進行役をしており、そこでは多方向からカメラがとらえ、気を抜いているところの顔が突然映ったりする。好きな角度でばっちり意識したキメ顔を「自分」と思っているわけではない。その私でも、
「オンラインだとこう見えるのか」
と愕然とする。