『ふつうでない時をふつうに生きる』(岸本葉子:著/中央公論新社)


さて肌の影の補正は?  コンシーラーがものを言う。

メイク用品になじみのない方に向けて解説すれば、ファンデーションは基本、全体に塗るが、コンシーラーは部分的に塗り、シミ、クマなどを隠す。濃さやトーンが微妙に違う肌色で、1本ずつスティックになっていたり、パレットになっていたりする。

かく言う私もこれまで面倒なため使ったことがなく、どの肌色が何用かを今から知るところだ。

目の下のクマは黒っぽいから白っぽい肌色で「中和」すればいいのだろうと、ざっくり考えていたが、オレンジがかった、むしろ濃いめの肌色をというから不思議。血色を補い、不健康感をまず取り除くそうだ。

ほうれい線には白っぽい肌色で。こちらは白浮き効果というか光効果を利用して、影を目立たなくするという。

俳句番組のリモート出演に先立って、リモート会議で実験したく、コンシーラーを買わないと。いろいろな色を試せるパレット式で、「よれにくい」との評価のあるものを選ぶ。話すとおのずと表情じわが寄る。皮膚の伸び縮みでひび割れたりよれたりが、なるべく少なくすむように。

クマには、目の下の逆三角形に近い半円の袋に、とんとんと指で叩くのがいいらしい。

ほうれい線への載せ方は、意外。ほうれい線は、これまたなじみのない方に解説すると、サザエさんの登場人物フネさんの口の両脇に、斜め縦方向の線が入っているが、あれである。コンシーラーはこれをなぞるのではなく、付属のスティックで横方向に数本、猫のヒゲのような線を引いてから、指でもってなじませるという。

鏡の前でそのとおりにしてみたが、自分の顔に落書きをしているようで、思わず笑った。おっと、いけない、しわが寄る。