ひざの痛みにまつわる噂を東大教授が一刀両断!(イラスト:なとみみわ)
多くの人が抱えるひざのトラブル。痛みに悩んでネットを調べると「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントが軟骨を再生する」「コラーゲンの多い食べ物が効果的」といった様々な情報が。そうした巷(ちまた)にあふれる噂について、20年以上ひざを研究してきた整形外科医で東京大学大学院教授の福井尚志(ふくいなおし)先生と、大人の運動能力開発に携わってきた東京大学名誉教授の深代千之(ふかしろせんし)先生が一刀両断します!

そもそもひざの軟骨は元に戻るのか

Q. すり減ったひざの軟骨が元に戻るって話を聞いたことがあるのですがホントですか?

A. ウソです。自力では元に戻りません。

皮膚を切ると傷口から血が出てきますが、しばらくすると自然にふさがります。これは出血した血液が凝固して、細胞が損傷した組織を再生しようとする反応が起きるからです。ところが、関節軟骨には、再生を促す血管がないためこの反応が起こりません。

そもそも、軟骨のすり減りは、荷重がかかり続けた結果として起きた変化です。仮に新しい組織ができたとしても、同じ部分に荷重がかかってすり減り続ける限り、再生に向かうことはあり得ません。