東京・上野にある国立科学博物館で開催中の特別展「植物 地球を支える仲間たち」が熱い。じっとしていて一見地味な植物たちを、総合的に紹介する大規模な展覧会は初だとか。光合成という能力を手に入れた植物たちは、実は「最強」なのでは? 京都大学農学部を卒業、スミソニアン研究所を経て農学博士として研究を重ね、『植物はすごい』などの著書を上梓している田中修先生に、植物の不思議や進化、知られざる特徴を教えてもらった。今回は、ライオンも殺すことがあるという「トゲトゲ植物」の仲間から、名前も特徴的な2つをご紹介します
ヒイラギは鬼も悪魔も逃げていく世界最強の魔除け
トゲの角度がいかにも痛そうな、ヒイラギの葉。名前の由来は「疼ぐ」で、ヒリヒリ痛む、ずきずき痛む、うずくという意味があります。
このヒイラギ、日本では昔から鬼を退治してくれる植物として知られ、節分にはヒイラギの枝に鬼が嫌がる臭いを出すといわれるイワシの頭を刺して戸口に置き、魔除けにする風習があります。
また、姿が似ている植物に、クリスマスリースでおなじみのセイヨウヒイラギがありますが、これもキリスト教では神聖な植物で、悪魔除けとして使われています。
なぜ、どちらも魔除けとして使われるのか。その理由にはトゲの形もありますが、もうひとつが常緑樹であること。万物が枯れる冬の寒さの中でもツヤツヤと緑に輝く姿はとても不思議な存在で、昔の人にとっては永遠の命の象徴でした。人力が及ばない大きな力を感じていたのでしょう。
*ヒイラギはモクセイ科、クリスマスホーリーとも呼ばれるセイヨウヒイラギはモチノキ科。違う種類の植物なのです。
ヒイラギ
【学名】Osmanthus heterophyllus
【原産地】日本、台湾
【特徴】名前の由来は「疼(ひいら)ぐ」で、魔除けとして使つかわれてきた。冬も緑の葉を保つ常緑樹。
【学名】Osmanthus heterophyllus
【原産地】日本、台湾
【特徴】名前の由来は「疼(ひいら)ぐ」で、魔除けとして使つかわれてきた。冬も緑の葉を保つ常緑樹。