女性ホルモンが激減する更年期以降、私たちの心と体に表れるさまざまな不調。それを《老化だから仕方ない》 と諦めるのはもうやめましょう。女性ならではの悩みや不快感を解消するための技術「フェムテック」が進化した今は、快適に心地よく過ごす方法がいくらでもあるのです。今回は、山本浩未さんと本誌美容ライターが、デリケートなお悩み対策の最新事情を掘り下げます〈撮影(人物)=天日恵美子 撮影(商品)=ジョン・チャン 構成・文=片岡えり〉
注目は骨盤底筋群を引き締める治療法
片岡 これから注目を集めそうなのは、骨盤底筋群を引き締めるエムセラ(※1) という治療。約30分座るだけで筋トレができ尿漏れ防止効果があるようです。保険適用外の自費治療なので費用はそれなりにかかりますが、悩んでいるなら試す価値はあると思います。
山本 すごいなあ。きれいも快適も目指せる。それこそ歳をとっても諦めなくていい21世紀美容ですよね。
片岡 研究も技術も進んでいる今は、デリケートゾーンのトラブルも医薬品とコスメ、そして美容医療で7割くらいカバーできる気がします。あとは日常のセルフケアですね。
山本 用を足した後にゴシゴシ拭かないとか、デリケートゾーンはボディソープで洗わないとか。
片岡 膣内は常在菌のバランスで酸性状態に保たれているので、お湯で洗うのもNGなんですって。健康な膣内にはラクトバチルス(※2)という善玉菌が多く存在し、細菌性膣炎や性感染症の原因となる菌の繁殖を防いでいます。そのラクトバチルスは更年期以降に減る傾向があるとか。
山本 膣内は余計なことをせず、外側だけ弱酸性の専用洗浄料でやさしく洗うことが大事ですね。
片岡 尿漏れシートを長時間つけっぱなしにするのも避けたいです。蒸れて雑菌が増えるので。
用語集(1)
(※1)エムセラ
骨盤底筋群を効率的に鍛える、高密度焦点式電磁機器を使った治療。服を着たまま約30分座るだけで筋肉を刺激でき、痛みもダウンタイムもない。尿漏れや頻尿、性機能障害の改善が期待できる。
(※2)ラクトバチルス
膣内、子宮内に多く存在し、健康な状態を保つために働く乳酸菌。更年期以降はラクトバチルスが減り、細菌性膣炎や感染症のリスクが増加。