イラスト:小林マキ
暴飲暴食しがちな年末年始。年齢を重ねるにつれ、胃もたれや胸やけなどが起きやすくなったと感じる人も多いのでは。その原因は加齢による自律神経の乱れにあるようです。普段からできる胃の調子を整える方法をお伝えします(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

胃そのものは衰えにくい

今年の年末年始は久しぶりに家族や親戚、友人などと集う機会が増えそうです。

そんな場面ではつい食べすぎ、飲みすぎてしまい、胃の調子を崩しがち。加齢によって胃の働きも衰えますから、心配なところです。

「胃はとても丈夫な臓器。胃かいようや胃がんなどの病気があれば話は別ですが、加齢による影響はそれほどありません。仮に20歳と90歳の健康な人の胃を取り出して、どっちがどっちと問われても、医師の私でも判断しづらいほど。健康であれば、いくつになってもしっかり働いてくれる臓器が胃なのです」と説明するのは、兵庫医科大学の三輪洋人先生。となると、加齢とともに胃の調子を崩しやすくなるのはどうしてでしょうか。それは、自律神経の影響を大きく受けるから、と三輪先生は説明します。

「胃は自分の意思で動かすことができません。食べ物が入ってきたら、適切なタイミングで膨らんで胃液を分泌し、ぜん動運動によって食べ物を攪拌して腸へと送っていく。そうした機能をすべてコントロールしているのが自律神経です。ところが、自律神経は加齢によって乱れやすくなるため、胃が十分に膨らみづらくなったり胃液の分泌が滞ったりして、不調を起こすのです」(三輪先生。以下同)

さらに、ストレスも自律神経に悪影響を及ぼすといいます。

「悩みごとがあると胃が痛んだり、食欲不振に陥ったりという経験は誰しもあるでしょう。不安やストレスは自律神経を乱れさせる大きな要因になり、胃の働きを悪化させます。あれこれ考えながら食事をするのは、最も悪い習慣。考えごとがあっても食事どきは忘れて、料理を味わいながら楽しく食事することを意識しましょう」