2022年4月12日、東京大学の入学式が日本武道館にて開催され、約3000人の新入生が出席しました。2019年の式では、女性学・ジェンダー研究のパイオニア的存在である東京大学名誉教授・上野千鶴子さんが祝辞をし、新入生に対し「あなただけの努力でここまできたわけではない」と伝えつつ、大学に残るジェンダーギャップに触れたことが大いに話題になりました。
その上野さんが2021年3月、「人生最後の日に何を語るか」というテーマで著名人が特別講義をするNHKの『最後の講義』に出演。番組内ではコロナ禍で社会に起きたポジティブな変化と、ネガティブなまま変わらないことに触れ、視聴者へ強いメッセージを伝えました。
その上野さんが2021年3月、「人生最後の日に何を語るか」というテーマで著名人が特別講義をするNHKの『最後の講義』に出演。番組内ではコロナ禍で社会に起きたポジティブな変化と、ネガティブなまま変わらないことに触れ、視聴者へ強いメッセージを伝えました。
なぜ日本国民は「痛税感が強い」のか
すでに示したように、生産労働と再生産労働、いい換えれば支払い労働と不払い労働の配分とそのコストについては、いくつかの選択肢がありますが、無限にあるわけじゃありません。有限個の選択肢があります。
ケアの公共化オプションを採用した社会は、わたしたちが福祉先進国と呼んでいる社会です。このオプションのコストは高い国民負担率です。税金と保険料を含めて、所得の50%以上を取られると思ってください。
「国民負担率」の「負担」とはネガティブな表現ですから、大熊由紀子さんという福祉ジャーナリストが、「国民負担率」を「国民連帯率」と呼び替えようと提案なさいました。日本国民の皆さんがそのくらい負担をしてもいいと同意されたら、日本も福祉先進国並みの社会がつくれるでしょう。
ですが、日本国民は、消費税を上げることにも抵抗する、痛税感の強い国民です。その理由もわかっています。各種の世論調査によると、日本国民は「暮らしの安心のためなら今より負担を増やしてもいい」という答えに6割以上が同意しているのですが、おカネを出してもいいが、あの政府には預けたくない、と思っているようです。
つまり政府不信のせいですね。