介護関係者のウソ?ホント?
利用者の介護度が進行すると、別居介護をしている親族は「手元に呼び寄せたい」と考えるのも自然なことでしょう。しかし、ケアマネジャーに相談し「環境が変わると介護度が進む」と言われた人は多いと聞きます。
それを理由に呼び寄せることを断念した人もいますが、ケアマネージャーのこの発言の医学的なデータの裏付けは、筆者が調べた限りでは見当たりませんでした。
実際、手元に呼び寄せて介護度が一気に進む人もいれば、新天地で孫などに囲まれ、「来て良かった」という方も大勢います。こればかりは、利用者の性格や新天地の環境にもよります。
また、友人たちがいるからと馴染んだ環境で暮らすことを選択したものの、友人たちが子どもの近くに引っ越したり、施設に入居したりして誰も訪問しなくなり、認知が進むケースもありました。
ケアマネージャーの反対を、ドクターに相談し「これから介護度が進行するばかりなのに、どうやって介護と仕事や生活を両立させるの?すぐに駆け付けられないし、医療機関にしても親族の決断を一分でも早く決めてほしいことも起るかもしれない。介護は論理的に考えることも必要」とアドバイスをうけて、呼び寄せることを決断した家族もありました。
医師やケアマネージャーのアドバイスに従っても、彼らが責任を取ってくれるわけでも、経済的援助をしてくれるわけでもありません。馴染みのない土地に高齢になって行くのは不安で、抵抗する人もいるでしょう。
しかし、遠距離介護は時間的にも労力的にも経済的にも、大きな負担です。悲しい現実ですが、介護が進めば利用者本人がどこにいるのかも分からない状況になることもあります。利用者本人の意見は尊重しつつも、介護する側が健康を害したり、配偶者や子どもたちと亀裂が生じたり、経済的負担が重なるようでは本末転倒です。
また、未だに「介護は女がするもの」「子どもは仕事を辞めて親の介護をするもの」「施設に入れるのは可哀想」と言う人もいます。しかし、介護の大変さはその家族しか分かりません。また、育児と違って、終わりがいつになるかもわかりません。
介護にはお金がかかります。介護離職はできるだけ避け、周囲の意見は気にせずに、冷静な決断をすることが必要です。息抜きもしながら、その家族に合った介護をまっとうして頂ければと思います。