暢子に悪気はない
NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』への評価が厳しい。私も第25話までの沖縄編の段階で早々とヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)が苦手になってしまった。
私ばかりではないはずだ。過去105作の朝ドラの主人公はことごとく視聴者に共感されてきたが、暢子はそれが難しい。
視聴者側に暢子を苦手にさせるエピソードはいくつもあった。例えば第19話で描かれた「北部産業まつり」の料理コンテスト。山原高校3年だった暢子は料理部の助っ人として「やんばるソバ」を創作した。
そこまでは良かったのだが、ライバルの南山原高校が出品した「さんぴん茶の葉の蒸しケーキ」を試食し、「甘いばかりで勿体ない」とダメ出し。おまけに頼まれてもいないのに「塩を足したらより美味しくなるよ」とアドバイスを与えた。南山原高校の部員が渋面になったのも無理はない。
暢子に悪気はないのだ。忖度が出来ないのである。このところ誤った使い方が目立つ言葉だが、忖度とは相手の心を推し量って配慮すること。中学生くらいになったら、欠かせない。これが出来ないヒロインに共感するのは至難だ。