ドラマでは”ほぼ丸腰”で、対立する北条の館へ向かった比企能員でしたが、そんなことはあり得るのでしょうか? 本郷先生の考えはいかに(写真:本社写真部)
小栗旬さん演じる北条義時、大泉洋さん演じる源頼朝ら、権力の座を巡る武士たちの駆け引きが三谷幸喜さんの脚本で巧みに描かれるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(総合、日曜午後8時ほか)。8月14日放送の第31回「諦めの悪い男」では、源頼家(金子大地さん)の後継者をめぐって激しさを増す北条と比企の争いが描かれました。頼家の長男・一幡を推し、朝廷の許しを得ようと躍起になる比企能員(佐藤二朗さん)。義時は比奈(堀田真由さん)に頼み、その動向を探ります。そんな中、政子(小池栄子さん)のもとに北条時政(坂東彌十郎さん)、りく(宮沢りえさん)らが集まり……といった内容が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第1回は「比企能員は本当に”丸腰”で北条邸を訪れたのか」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

「ドラマ」をより楽しむための解説を

本サイトにて、大河ドラマを解説する連載を手掛けることになった本郷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

それでまず初めに、この連載の基本姿勢を一つだけお話しておきたいと思います。

大河ドラマは歴史を扱っていますが、お勉強のためのお堅いノンフィクション番組ではありません。あくまでも多くのファンとともに楽しむ、「ドラマ」なのです。

ですから、私がいくら歴史研究者だからといって、上から目線で重箱の隅をつつくような指摘をするのは、ヤボというもの。この点に留意しながら、ドラマをより楽しむことができるような、そんな解説を書いていきたいと念願しています。