たしかに「兵の道」という観念があった
そこで、ドラマの演出をもう一度思い出してみましょう。
能員は比企家の人々に言ってましたよね。丸腰の者に危害を加えるのは武士のすることではない。だから、大丈夫だ、と(実際には完全に丸腰ではなく、着物の下にこっそり鎧を着ていましたが)。
たしかに当時、武士の守るべき「兵の道(つわもののみち)」という観念があったのです。それは成文化されたものではありませんが、みんなに共有されていて、のちに「武士道」になっていく。
一言でいうなら、常に正々堂々、卑怯な振る舞いをしてはならない、ということなのですが、なるほど、これを持ってきたか。しかもこのシーンにつながるよう、その前には北条時政自身が能員のもとを訪れ、和議を申し入れる場面まで設定していた(この和議の場面は完全なフィクションです)。
三谷脚本か、現場のアイデアか分かりませんが、やるな、演出陣! うん、これなら丸腰能員に説明がつきますね。
さあ、次回は頼家がどう出るか、ですね。北条のえげつなさには、ますます磨きがかかることでしょう。期待しましょう。