能員が武装していなかったことは間違いない

このころ、埼玉県に小代(しょうだい)氏という御家人がいました。のちに肥後国に移り住んで中世を生き抜き、江戸時代には熊本の細川家に仕えた。

この家が文書を残していて、そこに北条邸にやってきた能員の姿がリアルに書き記されている。そして、なんとそれは『吾妻鏡』の記述に一致するんです。となると、能員が全く武装していなかったことは間違いないらしい。

じゃあ、なぜ? 敵対している陣営に、丸腰で行きますか?

能員の行動は、まるで殺してくださいと言わんばかりではありませんか。

私には以前から、まったく理解できなかった。いまだにいい解釈は浮かびません。能員は危機意識の乏しい無能だったのでしょうか。うーん、まさかね。