カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第13回は「見えない部分を想像させる」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第13回は「見えない部分を想像させる」です
すべてを見せず見えない部分を想像させる
〔 撮り方 〕
横浜山手の洋館。窓から初夏の日差しが入る。
その雰囲気を活かして露出を明るめに設定。
レンズは開放値の明るい単焦点56mmF1.2を選択し、絞り開放で花瓶が浮き上がる感じを出した。WB(ホワイトバランス) は外光と室内灯とのバランスを考えオートに設定。
この作品の一番のポイントは、花瓶の赤と白のストライプだ。花瓶と部屋のバランスのとり方次第で花瓶の存在感が変わってくる。
そのため、花瓶の位置を画面センターに置いた場合と、花瓶を1/3カットして見せた場合を検討して、最終的に花瓶を左に寄せて全部を見せ、花を少しカットした構図で撮った。
花瓶を左に寄せた結果、画面右に空間ができ、花がそちらに伸びていくイメージを出せた。