消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
クマによる温泉発見の由来や伝説
歴史ある温泉の多くには、開湯にまつわる発見伝説が存在する。温泉を見付けたのは鳥獣や高僧、武将、日本神話の神など多種多様で、中には複数のエピソードを持つ温泉も。
真偽のほどはさておき、日本各地に残る鳥獣による温泉発見の由来や伝説を紹介しよう。
● 熊の湯温泉(長野県下高井郡山ノ内町)
嘉永元年(1848)に佐久間象山が志賀高原の森林伐採と植林計画の実地調査の際に温泉を発見し、竹村金吾に探査と開湯を勧める書簡を送っている。
村人は古くからこの沢を「湯沢」と呼び、温かい湯が湧き、クマが足の傷を湯に浸している姿を見かけていたので、温泉名は「熊の湯温泉」となった。温泉宿は明治15年に山本弥曽吉が開設した。
与謝野晶子は「熊の子の けがして足を 洗へるが 開祖といひて 伝はるいでゆ」と詠み、その歌碑も建立されている。