夫婦間の役割分担をもっと柔軟に考えていくことは、アンコンシャス・バイアスをなくすことにつながるでしょう(提供:photoAC)
無意識の思いこみや偏見を意味する“アンコンシャス・バイアス”。「それぞれが持つアンコンシャス・バイアスが直接的に作用しなくとも、社会や周囲のそれが影響し、知らないうちに誰かのやる気や可能性を抑えかねない」と、昭和女子大学理事長・総長の坂東眞理子さんは指摘します。特に高度経済成長時代の結婚観に基づく”アンコンシャス・バイアス”には注意すべきだそうで――。

性別による役割分担は20世紀後半の話

「男は仕事、女は家庭」。

日本ではこの性別における役割分担が20世紀後半の特に高度経済成長時代、一般家庭にまで浸透しました。

収入の高い人が外で稼ぎ、収入の低い人や働いてもあまり稼げない人が家の仕事をするというのは、20世紀後半の日本においては、女性たちがまともにお金を稼げるような仕事や機会がとても少なかったので、女性が家事や育児をすることが合理的な選択でした。

しかし現代では、第一次産業、第二次産業従事者が減り、さらに男性にとっても、働き方の多様化や作業の機械化などにより、朝から晩まで働き続けるような仕事や力仕事といった、体力が求められる仕事はグッと少なくなりました。

また、女性の大学進学率が高くなり、女性も専門知識や技術が必要な職業に就くようになりました。まだ昇進の機会は、男女の差があるとはいえ、女性の管理職、役員も増えてきており、専業主婦は少数です。

男性も女性も関係なく、医師や弁護士、ICT技術者といった職業に就くことができ、お金を稼げるようになったわけです。

ですから、夫と妻の間において、稼げる方がより多く稼げばよいですし、お互いに納得していれば、仕事と家事をどのように分担しても、それこそ外注をしてもよいと私は思っています。