厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和3年)」によると男性の平均寿命は81.47年、女性の平均寿命は87.57年(2022年度)といずれも40年前から9歳程度伸び、80代となりました。一方「なぜ人は80歳を境にガクッと衰えるのか、あらためて考えてみた」と語るのは、老年医学を専門とする精神科医・和田秀樹さんです。和田さんいわく「80歳を過ぎたら、健康診断は受ける必要がない」そうですが――。
80歳を過ぎたら、「健康診断」を卒業してもよい
著書『80歳の壁』で、「80歳を過ぎたら、健康診断は受ける必要がない」と申し上げたところ、「先生、本当に受けなくていいのですか」という質問を、その後、よく受けました。
ここで、その理由をより詳しく述べておきます。
まず、医療界で、世界的に有名な「調査」についてお話しします。
フィンランドで、生活習慣病を持つ1200人を2つのグループに分け、15年間、追跡調査した結果です。
2グループのうち、第1のグループは、15年間、健康診断を受けず、医者も指示しないという「医療放置群」、もう一方は、健診を定期的に受け、医者も指示を出すという「医療介入群」です。
すると、15年間の死亡者数は、放置群46人に対して、医療介入群は、ほぼその5割増しの67人でした。
健康診断や医者の指示は、無意味どころか、むしろ死者を増やすという結果が出たのです。