岸さん「若手キャリアの離職も右肩上がりで増加中だ」と言いますが――(写真提供:Photo AC)
同期入省の中から30数年をかけて選び抜かれたエリート中のエリートである事務次官。だが、近年、セクハラ等の不祥事で短命化が進み、その権威に影が差しているという。官界の異変は「裾野」でもみられ、ブラックな労働環境や、若手の退職者増加など厳しさを増している。そんな大きな曲がり角を迎えている霞が関を長年取材し続けているのは、経済ジャーナリストの岸宣仁さん。その岸さん「若手キャリアの離職も右肩上がりで増加中だ」と言いますが――。

若手キャリアの退職者激増

国会待機が端的に物語るブラックな働き方を敬遠して、とくに若手の間に官僚離れが顕著に表れている。

国家公務員志望者の長期低落傾向は言うに及ばず、若手キャリアの離職も右肩上がりで増加中だ。

自己都合を理由に退職した20代のキャリア官僚は、19年度に86人を数えた。例年、キャリアの採用は800人程度なので、1割強の若手が霞が関を去った勘定だ。

ここ数年の退職者を見ても、14年度31人、15年度34人、16年度41人、17年度38人、18年度64人と、18年度以降は加速度を増したような激増ぶりである。

一言で「ブラック職場」と書いたが、それは国会待機による長時間労働だけが問題なのではない。

安倍・菅政権時代に著しかった官邸主導の政策決定や、官僚を引っ張り出して吊るし上げのように問題点を追及する野党合同ヒアリングなども、政に対する官の不満が蓄積するブラックな働き方の一因になっている。