日本の官界は負のスパイラルに入っている

若手官僚の中からは、「議論を尽くして案件を官邸に上げると、問答無用にNOという返事が返ってくることがある。理由がよくわからないままNGを出され、それが何度も続くと、何のために役人をやっているか自分が虚しくなる。

官邸主導の流れを否定するつもりはないが、あまりにバッサリやられるうちにモチベーションを保つのが難しくなるのは確かです」と、愚痴めいた嘆きの声が出た。

『事務次官という謎-霞が関の出世と人事』(著:岸宣仁/中央公論新社)

志望者の激減、若手キャリアの退職者激増―二つの事象が同時進行し、日本の官僚システムの土台をむしばんでいる。

 

すでに日本の官界が負のスパイラルに入っているのは明らかで、将来を背負って立つ人材の獲得・育成を急がなければ、官の劣化を食い止めるのは不可能になるだろう。