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自分の子どもが最初に話す言葉は親にとって気になるものですが、そもそもどうやって子どもたちは言葉を覚えていくのでしょうか。覚える過程で重要になるのが「オノマトペ」であると、慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみさん、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の秋田喜美さんはいいます。そんなオノマトペですが、同じ対象を表しているはずなのに、地域によって異なるのは理由があるそうで――。

隠れたオノマトペ

なぜ私たちは、一般語にも音と意味のつながりを感じるのだろうか? 実は、現在私たちがオノマトペと見なさない「普通のことば」(一般語)の中には、昔はオノマトペだったものが驚くほどたくさんある。

たとえば、「たたく」「ふく」「すう」という動詞。オノマトペの歴史研究の第一人者である山口仲美(やまぐちなかみ)によれば、これらの動詞はそれぞれ「タッタッ」「フー」「スー」という擬音語をもとに作られた語で、末尾の「く」は古語では動詞化するための接辞だった。同様に、なんと「はたらく」も「ハタハタ」というオノマトペを語源に持つとされる。

動物の名前にもオノマトペ由来のものがとても多い。「カラス」「鴬(うぐいす)」「ホトトギス」は鳴き声を写す擬音語「カラ」「ウグヒ」「ホトトギ」に鳥であることを示す接辞「ス」がついてできた名前だそうだ。「ヒヨコ」は「ヒヨヒヨ」に「コ」。「コ」はかわいいものにつける接辞である。

これらの事例は、私たちが一般語と思っていることばの多くが、もともとは対象の模倣であるオノマトペに由来する可能性を示唆する。そう考えれば、オノマトペではない、一般語にも音と意味のつながりを感じることが多々あることが納得できる。

しかし、オノマトペを効果音のように、間投詞的に使うのではなく、モノの名前や動詞として使うために、接辞をつけたり活用させたりして、一般語の形にしていく。すると、オノマトペが持つ「音で意味を模倣している」という感覚が薄らいでいくのだ。