記者会見の最後に、船越さんが懇意にしているという福井の銘酒・黒龍で鏡開き。(左から)河相我聞、高橋健介、崎山つばさ、船越英一郎、新木宏典、猪野広樹、山村紅葉、菅井友香
「2時間ドラマの帝王」と呼ばれ、昨年活動40周年を迎えた船越英一郎さん(63)が、東京・明治座で初舞台・初主演する。作品は明治座の創業150年記念公演『赤ひげ』(10月28日~11月12日)で、主人公の医師・新出去定(にいで・きょじょう)を役を演じる。10月26日、製作発表が東京ドームホテルで行われた。

ずっと舞台から逃げていた

民放全5局のサスペンスドラマ主演を務めた唯一の俳優とも言われ、2023年の6月には、自らをモデルにした『テイオーの長い休日』でフジテレビ系連続ドラマで初主演を務めたばかりの船越さん。「2時間ドラマ風」のクリニックのCMなどでも話題を呼んでいるが、還暦過ぎての挑戦の裏側には何があったのか。

これまで舞台出演がなかったのは「ずっと逃げていた」からだと言い「今もズボンの裾が揺れるほど緊張しています」と意外な一面も。なぜ今回の舞台を受けたかという記者の質問には「長い話になりますが…」と前置きし、「3年前還暦を迎える時、何か新しいことに挑戦してはと社長に言われ、いよいよ切り出されたか…」と苦笑い。清水の舞台から飛び降りるつもりになったところにコロナ禍があり、明治座の150周年というタイミングに重なったのだという。

もう一つの理由としては、「昨年40周年を迎え、ファンの方にじかに感謝の気持ちを伝えたいと思った」と話す。1986年にはロックミュージカル劇団「MAGAZINE」を主宰し、脚本と演出を担当、戯曲集『BRAKERS』も出版している船越さんは「若気の至りで劇団をやっていたが、お金をいただいて大きな舞台で演じることはすごく緊張する。それが舞台から逃げていた原因」だと振り返る。

「重責を担って、41年目の役者が初舞台に無謀にも挑む。大冒険で地獄を見るのか、天国を見るのか。63歳が懸命にあがき、のたうち回る姿を楽しんでほしい」と笑った。