川口 いいですね。実は噛む力が衰えると、千切りキャベツは食べにくくなるのです。私は東京都新宿区にある「暮らしの保健室」(健康、医療、介護に関する無料の相談室)で、週1回「からだに優しい食事」という給食を提供しています。
そこにお越しになる高齢の方は、千切りキャベツに難色を示すことが多いんですよ。ですから、お味噌汁の具にしたり、卵焼きに混ぜ込んだりしています。
瀬川 なるほど。どう食べるかが問題だということですね。
川口 その通りです。さらに栄養のバランスにも注意したいところ。日本人の多くが、手っ取り早く空腹を満たせる炭水化物に偏りがちなのです。
瀬川 先生が開発なさった、主食・主菜・副菜をバランスよく取るためのお皿「バランスプレート」を拝見しました。
「肉・魚・たまご・大豆類」の主菜のスペース(赤)が半分を占め、残りが主食の「ご飯・パン・麺類」(黄)と副菜の「野菜・煮しめ類・海草・きのこ類」(緑・黒)なのですね。炭水化物が半分を占めるものと思い込んでいました。
川口 皆さん、そうおっしゃいますよ。主菜には、薄切りのお肉を並べたり、魚なら1尾、たまご料理なら目玉焼き1個。主食には女茶碗サイズの約150gのご飯が、副菜には茹でたり炒めたりすれば、100gほどの野菜類が納まります。約550キロカロリーになる計算です。
瀬川 三食食べると1650キロカロリー。私が1日に摂取しなければいけないのが1800キロカロリーだとするなら、何日かに1度は大好きなデザートを食べていいということですね。嬉しい!
川口 好きなものを「美味しい」と感じながら食べると、免疫力が上がりますよ。
瀬川 あれもダメ、これも我慢では、食べること自体が楽しくなくなってしまいますものね。