歌手生活50年を迎えた天童よしみさんは、デビュー当時の曲もキーを変えずに歌い続けているそうです。加齢の影響を受けやすいのどを、どのようにケアしてきたのでしょうか。声の専門医・渡邊雄介先生が、秘密を解き明かします(構成=山田真理 撮影=川上尚見)
ストレスで声が出なくなることも
天童 先生とはいつも診察室でお目にかかっているので、今日こうして対談でお話しするのが不思議な感じですね。
渡邊 初めて天童さんの「のど」を診察したのは、20年ほど前になるでしょうか。
天童 新宿コマ劇場で初の座長公演をやらせていただく直前、インフルエンザに感染してしまって。リハーサル時から徐々に声の調子が悪くなり、話し声までかすれてきたので、「このままではお客さまの前に立てない!」と本当にハラハラしました。その時、医療関係の仕事をしていた叔母から「声の専門家でいいお医者さんがいる」と紹介されたのが、渡邊先生でした。
渡邊 座長ということで、緊張もあったのでしょうね。
天童 はい。でも、先生の適切な治療のおかげで1ヵ月におよぶ公演を無事に乗り切ることができました。その後もちょっと調子がおかしいなと感じると、すぐに先生のところへ駆け込んで診察を受けています。