「私は体が小さい割に昔から肺活量が多いんです。たぶん小中学生の頃、夏休みのたびに故郷・和歌山の川で真っ黒になるまで泳いでいたおかげじゃないでしょうか」(天童さん)

湿度の高いお風呂で毎日歌っています

天童 おかげさまで昨年、歌手デビュー50周年を迎えることができました。ずっと歌い続けてきましたが、やはり60代も後半になると「のども年を取るのかな」という不安もあります。おじいちゃんおばあちゃんになるとガラガラ声になったり、声が小さく弱々しくなったりする人が多いじゃないですか。

渡邊 のども体の一部なので、もちろん加齢に伴う変化は起こります。しかし、サザエさんの声を担当する声優の加藤みどりさんが、80歳を過ぎても24歳のサザエさんを演じられるように、適切なケアを続ければ若々しい声を保つことは十分に可能です。逆にケアを怠れば、プロの方でも息が続かない、高い声が出ないといった老化現象が起きてしまいます。

天童 そもそも「声が若い」とは、どういう状態なのでしょう。

渡邊 声帯という小さな筋肉がしっかり振動すること、声帯を震わすエンジンとなる深い呼吸ができること、声を出す際にメガホンの役割を担う口腔内の環境が整っていること――この3つが若々しい声の条件です。

天童 1つだけでなく、それぞれが大切なのですね。

渡邊 声帯は筋肉と粘膜からできていますが、粘膜は加齢とともに水分量が減って動きが鈍くなります。すると声帯がうまく振動できずに、カサカサした「老け声」になってしまうのです。