相変わらず明るく、何も変わらない毎日
この1年4ヵ月、家族の中で一番病気を意識しながら暮らし、泣いているのは私かもしれません。夫も娘も、見事に何も変わっていない。夫は相変わらず、洗濯したり、ゴミ出ししたり…。先日も皿洗いしながら娘に「たまには手伝えよー」と声をかけていて、娘も「はーい」なんて答えながら、やっぱり手伝わずに夫がお皿を洗っていました。(笑)
中学生の娘には事実をすぐには言えなかったのですが、今年の6月ごろ、私が出張のときに夫が直接話してしまったんです。娘はちょっと泣いて「父ちゃん、つらいの?」と聞いたそう。そして夫が「つらくないから大丈夫」と応えたら「だったらよかった」と友達と遊びに出かけたみたい。その後、心配した私が出張先から電話で「大丈夫?」と聞いたら「だいじょばない!」と言っていましたが、すぐに立ち直って、平常心を取り戻してくれました。父親がやせてきたからといって、ことさらやさしくするわけでもなく、がんになる前とまったく同じ態度です。
変わらない生活ではありますが、夫の体重は、病を得る前より20キロも落ちました。心筋梗塞のときには体重を落とせと言われていたのに…。それでも痛いところがないから、家事も淡々とこなしてくれています。
仕事からの帰り、家が近づいてきて眺めると洗濯ものが干してある。「ああ、また父ちゃんが干してくれてたんだなあ」とちょっとしみじみしてしまいます。変わっていないことに感動しているんです。
でも暗くなっているわけではありません。がん患者がいる家庭って、どうしても暗くなりますよね。でもわが家は、相変わらず明るいです。というか、本当に何も変わっていないんです。