仲がいい思春期の娘と夫

夫は「余命は仕事に充てる」と対談本を作り始め、関係の深い方々にお付き合いいただいて、作ることができました。15人の方と対談していますが、みなさん、夫のいろいろな面をご存じの方ばかりです。末期がん患者からのオファーを受けてくださったのですから、ありがたいですね。

表紙の写真がいいんですよ。夫の後ろ姿…。いくつか候補がありましたが、2人とも、これしかないと思いました。私は夫と並んで歩いた記憶がないんです。夫はいつも娘と並んで歩いて、その後ろ姿を見ながら私がついていく、という感じでした。まさに彼の後ろ姿をたくさん見てきたので…。

『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』(著:叶井俊太郎/サイゾー)

娘と夫は本当に仲がいい。夫は娘を遊ばせることが生き甲斐だったんです。学校関係の面倒もすべて夫の担当。うちにはお母さんが2人いる、と言われているほどです(笑)。ついこの間も夫と娘と2人で洋服を買いに行ってました。娘が生まれてから、洋服担当は全面的に夫です。おしゃれな人だし、着道楽なので、楽しいらしいです。だからと言って、私の着るものには口を出さないし買ってもくれない。「ママはしまむらが好きだからねー」なんて言ってる(笑)。思春期の娘にこれだけ好かれる父親って、珍しくないですか? 私にもこんなお父さんがほしかったなあって、何回も思いました。(笑)

家族で神奈川県・ズーラシアへ(写真提供:倉田さん)

私自身は父親がそんなに好きではなかったし、両親もそんなに仲がいいほうではなかった。母は、父がいることで自分がやりたいことを我慢せざるを得なかったようで、父に対してたくさんの不満を持っていたと思います。だから昨年、父が亡くなってから母はとても元気になりました(笑)。実家は、近所の奥さんたちのたまり場。うっとうしいご主人が健在で、家から出ておしゃべりしたい人たちが集まっていて、とっても楽しそうです。(笑)