高齢者にも不寛容な人が増えている

若宮 一方で、高齢者のほうにも、不寛容な人が増えてきたように思います。例えば、子どもが大声を出すのは元気な証拠です。それなのに、「公園で子どもがうるさい」「幼稚園から騒音がする」とすぐに文句をつける。

高齢者の憩いの場でもある各地の「ラジオ体操の会」も最近は困っているようです。「うるさいから音を小さくしろ」という苦情が、参加しない高齢者から多く寄せられるそうですから。

『和田秀樹、世界のマーチャンに会いに行く』(著:和田秀樹・若宮正子/小学館)

和田 現に日本は超高齢社会ですし、長生きすれば誰もが高齢者になります。日本が、明るく住みやすい国になるかどうかというのは、私たちがどれだけ寛容になれるかどうか、ということかもしれませんね。

若宮 実感を込めて頷(うなず)きます(笑)。

和田 正直に申せば、私も反省することがあります。高齢者マーク(高齢運転者標識)がついている車の後ろにつくと、すごくゆっくり走っていてイライラすることがあります(苦笑)。

だけど、「そうだよな、高齢者が増える社会というのは、こういうことだよな」と思い直すことで、一時のイライラは収まります。お互い寛容になれば、年齢に関係なく、みんなが住みやすい社会になります。

若宮 社会全体が不寛容なままですと、あちこちでギスギスしてしまって、いいことがありません。世代を越えて、お互いに寛容になって、お互いに共存していくという考え方がこれからは必要なんでしょうね。