認知症の進行を遅らせるには?

若宮 それには、どうしたらいいんですか?

和田 もっとも大事なことは、今日できていることは明日もできる、とご本人が心穏やかに過ごすことです。周囲も失敗を責め立ててはいけません。若宮さんのような「世界に評価される老人を目指そう」なんて、いきなり考える必要はないんです。

例えば、いま自動車を運転できている人は、明日もできるはず。こうした小さな積み重ねでいいんです。ほとんど運転してこなかった人が年老いてからいきなり運転してみようというのは危ないのですが、ずっと運転してきた人は、社会の空気に流されて返納する必要なんてありませんから。

若宮 私も長年、コツコツとデジタル機器を使い続け、アプリを開発できたという経緯があります。

※本稿は、『和田秀樹、世界のマーチャンに会いに行く』(小学館)の一部を再編集したものです。


和田秀樹、世界のマーチャンに会いに行く』(著:和田秀樹・若宮正子/小学館)

和田医師が日本の高齢者の「ロールモデル」と敬愛する、世界最高齢プログラマーの若宮さんと緊急対談。超高齢社会ニッポンの大問題や新たな高齢者像について語り合います。