和田先生「特定の食品ばかり食べる行為、実は健康には逆効果」(写真提供:Photo AC)
「人生100年時代」と言われる現代において、60代は人生を折り返したばかり。にもかかわらず、60歳を過ぎると、人生に鬱々とした感情を抱く人が多いようです。そのようななか「60代は人生を一番アクティブに楽しめる年代」と語るのは、東京大学医学部を卒業し、現在は精神科医として活躍している和田秀樹先生。和田先生によると「健康面を考えれば、特定の食品ばかり食べる行為は逆効果」らしく――。

食材は偏らず、いろんなものを食べよう

「いろんな食材を食べること」は、健康を維持するためには大切なポイントです。しかし、健康志向が高い人ほど、「免疫力がアップする納豆は体に良いから、毎食、納豆ばかり食べる」「玄米は完全食だから、玄米しか食べない」など、何か特定の食べ物だけに偏りがちがちです。

この「特定の食品ばかり食べる」行為は、実は健康には逆効果です。

100歳以上まで生きた長寿の人たちが何を食べてきたかを検証した名著『長寿の嘘』を上梓した、医学博士の柴田博(しばたひろし)先生も、「偏らないで何でも食べることが、長生きする秘訣だ」と指摘しています。

仮に栄養学的には何も意味がなさそうな食材であっても、その食べ物に含まれている「微量物質」と呼ばれる物質が含まれています。

同じものばかり食べ続けることで、これらの貴重な物質を摂取する機会を逃してしまい、体にさまざまな不調が生じます。

ただでさえ、60代以降は少しずつ栄養の吸収率が落ち、亜鉛などの微量物質が不足しがちです。食べ物が偏ってしまった結果、体に不調を起こしたり、精神を病んだり……という事態を引き起こしかねません。

だからこそ、一食でさまざまな食材が食べられるコンビニ弁当は、むしろ体に良いとも言えます。