なぜ「いい感じ」で終わる必要があるのか

そしてもうひとつ重要なのは「練習の終わり方」です。「いい感じに動けた記憶」を脳のニューロン同士のネットワークに刻印するには、「いい感じ」で終わる必要があります。

いいシュートで終われば、いいシュートの時の骨や筋、腱など運動器からの情報、心臓の鼓動や呼吸などの状態、雰囲気やシチュエーションなどの外的状況、その時の内的な会話などがセットになって記憶されます。

せっかく「いい感じ」を得たのに回数をこなすことに意識が向いてしまうと、「いい感じ」のあとに「全然よくない」が上書きされてしまう可能性があります。(ひとりに会ったなら誰に会ったか覚えていますが、立て続けに鎌倉で13人に会ったら4番目は誰だったか覚えていられないようなものです)

最後の記憶は、脳にとっては最新の記憶になりますから、「あ、いい感じでできた! よし、ここらへんで終わろう」のジャッジが上手くいき、それが実行できる、できる記憶が蓄積されやすくなります。

最後の記憶は、脳にとっては最新の記憶になる(写真提供:Photo AC)