増加した体脂肪とおさらばするために

はじめの1ヶ月は身体が糖質に依存していたため、涙が出るほど辛かった。それでも健康な身体と美しい肌を手に入れるため、糖質を断ち、玄米に全粒粉、そば以外の炭水化物断ちを心がけた。

お陰で十数年経った今では、糖質を欲することもなくなり、何もせず、自宅でゴロゴロしているだけでも疲れやすかった身体が、何時間でも歩き回れるようになり、偏頭痛や花粉症はいつの間にやら鳴りを潜め、しつこい大人のニキビにも久しくお目にかかっていない。

さて、所変わってただ今オーストリアにおり、たんぱく質の摂取を言い訳に、名物のウインナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ)や、ターフェルシュピッツ(ゆでた牛肉と根菜のスープ)をためらいもなく食している。

とりわけ、ターフェルシュピッツに入っている骨髄をスプーンですくっていただくことに醍醐味を感じてしまい、コラーゲンと引き替えに脂肪も摂取する訳で、増加した体脂肪とおさらばするために、必死でジムに通う日々なのである。

※本稿は、『文はやりたし』(幻冬舎文庫)の一部を再編集したものです。


文はやりたし』(著:中谷美紀/幻冬舎文庫)

ご縁あってドイツ人男性と結婚して始まった二拠点生活。一年の半分は日本でドラマや映画の撮影に勤しみ、残りはオーストリアで暮らしを楽しむ。肝試し代わりにタクシー運転手にドイツ語で話しかけたり、サイクリングやコンサートを楽しんだり。夏は自然に囲まれた山荘で、料理や庭造りにご近所付き合い。不便だけれど自由な日々を綴ったエッセイ。