映画『総理の夫』で夫婦役を演じている中谷美紀さん(右)と田中圭さん(左)(撮影=伊藤彰紀〈aosora〉)
ある日突然、妻が総理大臣に就任し、日本国中の注目を集めることになったら――。映画『総理の夫』で、日常生活が一変した夫婦を演じている二人が、自身の理想の夫婦関係を語ります(撮影=伊藤彰紀〈aosora〉 構成=篠藤ゆり)

名優は気配を消せる?

中谷 初めて圭くんと共演したのは、2008年に公開された映画『しあわせのかおり』でしたね。

田中 中谷さんは言葉遣いがとてもきれいで上品なので、どう接すればいいのかとドキドキしていたんです。そうしたら、すごく気さくに話しかけてくださったので、楽しかった記憶しかありません。でもたまに、お話が難しくて、「今の、どういう意味だったんだろう」ってなることもありました。(笑)

中谷 圭くんは、前に出るべき時と引くべき時をよくわきまえていらして、とても空気を読める方だと感じました。

田中 本当ですか?

中谷 誤解を恐れずに申し上げるなら、現場では人畜無害な存在なんです(笑)。気配を消すことができるのは、名優の証しだと思っています。

田中 消しているわけじゃないんです。昔、映画『東京大学物語』に主演した時、目の前にいた江川達也監督が、急に「圭くんがいない!」と言って僕を探し始めたことがあって。冗談かと思って「いやいや、ここにいますけど」って突っ込んだら、「エキストラの人かと思った!」と本気で驚かれました。(笑)

中谷 本当に人畜無害だったら、現在のように活躍していないはず。ちゃんと考えているけれど、そこをひけらかさない、とても稀有な方です。