筆者の関容子さん(右)と

小日向さんはみごと合格。俳優への道の第一歩を踏み出した。

――最初についた役が「百姓その一」。たった一個の台詞「あんなヤクザが役人面しやがって」というのを、「ヤクジが……」なんて噛んでしまって、横にいた串田(和美)さんが「はぁ……」って溜息(笑)。

でもとにかくメイクして舞台に出られるのが楽しくてね。しかしそのあと、なかなか役がつかない。舞台美術の裏方とか、記録のために衣装や小道具、セットの写真を撮らされたり……。なんだか嫌になってきた。

それで25の時に、「僕、若いうちに映像のほうに行きたいので劇団辞めます」って言ったんですよ、串田さんに。そしたら「何か映像の話、来たのか?」「いえ、まだです」「来てから相談しろよ」(笑)。「劇団にいても、いい話が来れば認めるよ」「じゃあ、辞めません」なんてね。

あの時、黙って辞めてれば、今日の僕はなかったでしょうね。串田さんに言われて思いとどまったのが第二の転機だと思いますね。

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