次回開催をお楽しみに
武将たちの陣跡を見学後、私たちは岐阜関ヶ原古戦場資料館へ向かいました。
関ヶ原の真ん中に建つこの施設は、2020年に開館したという新しいもの。歴史的に貴重な展示物や資料はもちろん、館員のみなさんによるガイドを通じ、その日関ヶ原に何が起きていたのか、そしてその前後や背景について、詳しく知ることができます。
また、施設内に設置されているシアターやビジョンでは、迫力ある映像を楽しむことも。戦国体験コーナーでは、関ヶ原にまつわるクイズに答えたり、刀や火縄銃のレプリカを触ることができたりと、今どきの資料館らしく、インタラクティブな展示が多い印象でした。
さらに5階の展望室は360度ガラス張りになっていて、関ヶ原を一望することができます。日本史好きなら、この施設だけで丸一日楽しめそうです。
個人的に印象に残ったのは参戦武将たちの鎧兜の展示でしょうか。広い常設展示室の入り口に並んだ東軍・西軍を代表する武将たちの装いはまさに圧巻。そこだけで、天下分け目の大戦に挑んだ彼らの決死の想いをあらためて感じることができます。
先生の見解とやや異なる解説もあったりして、そのあたりもまた興味深かったわけですが、野山歩きが主となりがちな古戦場巡りツアーと、なかなか両立しにくいお土産コーナーが充実していたのも嬉しかったです。(笑)
タイミング的に今は『どうする家康』グッズが多く展開していましたが、先生が購入されたのは顔が変わる”福笑い”式の家康クリアファイルでした。
以上をもって二日にわたる古戦場巡りツアーを終え、岐阜羽島の駅から、参加者の皆さんとともに家路へとつきました。
帰りの新幹線では「バスでまわっただけでこんなに大変だったのに、天下を統一した家康はどれだけ苦労しただろう…」などと、疲労が蓄積した自らのカラダをもって、その偉大さをあらためて痛感いたしました。
本郷先生曰く「次回のツアーをやるなら、テーマは武田と仏教美術かな。近くに美味しいものや温泉も多いし」とのことで、やや本筋から離れる可能性を懸念しつつも次回開催を楽しみに、ツアー報告を終えたいと思います。
『「失敗」の日本史』(著:本郷和人/中公新書ラクレ)
出版業界で続く「日本史」ブーム。書籍も数多く刊行され、今や書店の一角を占めるまでに。そのブームのきっかけの一つが、東京大学史料編纂所・本郷和人先生が手掛けた著書の数々なのは間違いない。今回その本郷先生が「日本史×失敗」をテーマにした新刊を刊行! 元寇の原因は完全に鎌倉幕府側にあった? 生涯のライバル謙信、信玄共に跡取り問題でしくじったのはなぜ? 光秀重用は信長の失敗だったと言える? あの時、氏康が秀吉に頭を下げられていたならば? 日本史を彩る英雄たちの「失敗」を検証しつつ、そこからの学び、もしくは「もし成功していたら」という“if"を展開。失敗の中にこそ、豊かな"学び"はある!