養老先生への質問
Q.大人になるって、どういうことですか。
A.どこまで自分の管理をできるか。それが子どもと大人の違いかな。欲望のまま突っ走るというのは若いんですよ。
それは悪いとは言えないんだよね。僕らの年になると今度は欲望が低下してきますから(笑)、どうしても抑えるほうが中心になってくる。
ただ、自分としては、ここで大人になったと思ったことはない。あえて言えば、八十越えて元気がなくなってからかなあ。まあ、この場合は、大人になったというより、老人になったということでしょうな。
※本稿は、『なるようになる。――僕はこんなふうに生きてきた』(中央公論新社)の一部を再編集したものです
『なるようになる。――僕はこんなふうに生きてきた』(著:養老 孟司/中央公論新社)
人生は、なるようになる――これがひとまずの結論です。幼少期の最初の記憶から、虫と猫とバカの壁と出会った86年を語りつくす。読売新聞の好評連載「時代の証言者」(聞き手・鵜飼哲夫)を大幅加筆、「50の質問」を増補。養老先生はじめての自伝。