皆にあまり喜ばれない「プレゼント」

ちなみに舅がケールや白菜の隣で栽培していた「マメ」というインゲンは、無事収穫と乾燥に成功。ビニール袋に詰められた状態で、クリスマスの期間、皆にあまり喜ばれない「プレゼント」として配られた。

あまりにもたくさんあったので、ついには自分の家の前の道路にテーブルを出して販売を始めたいと言い出し、私はその日本語とも解釈できる「マメ」という呼称の由来を調べてほしいと頼まれた。

販売するにあたり、お洒落なカードにそれを印刷して購買者に渡すのだという。残念ながら私には、アルパゴ地方の「マメ」と日本の「マメ」の接点は見つけ出せなかったが、豆類としては希少種であり、もうほとんどイタリアでは栽培されていないということがわかった。

結局、「マメ」は一つも売れることがなく、これも義母に失笑されて終わったが、ケールや白菜と違って保存が利くという意味でも重宝したし、配られた人の中には希少種と聞いて栽培を試みた人たちもいるという。

 

※本稿は、『貧乏ピッツァ』(新潮社)の一部を再編集したものです。


貧乏ピッツァ』(著:ヤマザキマリ/新潮社)

17歳でフィレンツェに留学。極貧の画学生時代に食べたピッツァの味が、今でも忘れられない――。トマト大好きイタリア人、ピッツァにおける経済格差、世界一美味しい意外な日本の飲料など、「創造の原点」という食への渇望を、シャンパンから素麺まで貴賤なく綴る。さらに世界の朝食や鍋料理、料理が苦手だった亡き母のアップルパイなど、食の記憶とともに溢れる人生のシーンを描き、「味覚の自由」を追求する至極のエッセイ。