デパート文化の発達していないイタリア

子供の頃の私にとってデパートは、おもちゃ売り場(おもちゃというより、私はぬいぐるみが好きだったのだけど)と、屋上のレストラン、ペット売り場、そして遊園地。若い頃はパルコなどのおしゃれデパートで、流行りのデザイナーズブランドの店巡り。

中年になって以降、目的のフロアと言えば、もっぱらデパ地下。地上階には気力と体力のある時しか上らない。同世代の友人と待ち合わせをするのもデパ地下。出先での用事が早く終わると、出かけるのはデパ地下。要するに、子供時代はあの高い建物の天空で補うことができていたワクワク感を、今では地表の下で得ているというわけだ。

『貧乏ピッツァ』(著:ヤマザキマリ/新潮社)

そんなはずはないだろうと思って調べてみたが、デパ地下というのはどうやら日本独特のものらしい。もちろん、大型商業施設の地下が食料品店やスーパーになっている場所は世界にもたくさんある。

リスボンに暮らしていた時も、私が足繁く出かけていたのは、移民たちが集まる広場に面して建っていた建物の地下にある食料品店だった。でも、それとデパ地下はまるっきり次元が違う。デパート文化の発達していないイタリアでは、あんな世界があることすら知らない人たちはたくさんいる。