「寂しい」が「恨めしい」に変わった日

寂しさに慣れてしまえば、いつかは大丈夫になる。そう思っていた。しかし、私の予想に反して、寂しさはしつこく私を蝕んだ。影のようにぴったりと寄り添い、どこまでもついてくる。悪夢を見るのと同じくらい、幼馴染の夢を見るのが苦痛だった。

夢の中の彼はいつだって優しくて、そのぶん、目覚めて現実に戻った瞬間、己の呼吸が続いていることを恨めしく思った。そんな日々が続くうち、やがて幼馴染に対して憎しみにも似た感情を抱いている自分に気付いた。

途中で放り出すくらいなら、どうして私を助けたりしたの。あの時、あのまま放っておいてくれたらよかったのに。そうしたら、私はとうの昔に楽になれていたのに。

中学校のベランダで彼が私を救ったのは、人道的に考えて正しかった。私が逆の立場でも、きっと同じ行動を取ったはずだ。そう頭ではわかっていても、心が追いつかず、理不尽な逆恨みだけが日増しに膨れ上がった。恩人に対してこんな感情を抱く自分を、鬼のようだと思った。